食事記録を始めた最初の2週間 — 記録の完全さは体重変化と結びついていなかった

食事記録アプリを入れた直後は、たいてい全部記録しようとする。調味料まで入力し、外食で分量がわからないところで手が止まり、数日分の空白ができたあたりで開かなくなる。この順番は珍しくない。

記録を細かく埋めることと、記録が続くことは別の問題である。そして体重の変化と結びついていたのは後者だった、という報告がある。最初の2週間で何を決めるかは、この違いをどう扱うかで変わる。

記録の「完全さ」は体重変化と結びついていなかった

Obesity Science & Practice に掲載された Payne らの研究は、過体重または肥満のある成人90人に食事記録アプリを8週間使わせ、記録の付き方を3つの指標に分けて体重変化との関連を調べている。

  • 頻度:何らかの記録をした日数(56日のうち何日か)
  • 一貫性:週3日以上記録できた週の数(0〜8週)
  • 完全さ:その週のカロリー目標の50%以上を記録できた週の数(0〜8週)

結果は分かれた。頻度(p=0.013)と一貫性(p=0.009)は体重変化と有意に関連し、一貫した週が1週増えるごとに体重の0.23%の減少と対応していた。一方、完全さは有意水準に届かなかった(p=0.062)。記録を細かく埋められたかどうかは、記録を続けられたかどうかほど結果と結びついていない。

ただしこの研究は対照群のない単群試験で、期間は8週間、決定係数も0.07前後と小さい。研究を完了した50人だけで見ると3指標すべての関連が消える。因果関係は示されていないと著者自身が書いている。読める範囲は「細かさを優先する根拠は乏しい」という水準までである。

記録の実態もこの研究に出ている。90人の記録日数は平均28.1日で、56日の50.1%にとどまった。さらに90人のうち80人(89%)が、1日以上を後からまとめて入力していた。毎食をその場で入力し続ける前提のほうが、実態から外れている。

制度側の設計も「目標を絞る」から始まっている

厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」は、特定保健指導の目標設定について「目標とする行動は多くなりすぎないように留意し、また記録してセルフモニタリングすることが望ましい」と書いている。絞った行動を記録する、という順序である。

同プログラムの表6には、評価に使う行動変容の目標例が並んでいる。「毎日体重を測り、結果を記録する」「1日の間食は、適量(〇kcal以内)にする」のように、ひとつの行動に限定され、数値の部分が空欄になっている形式である。

水準も示されている。同プログラムは、2か月間の行動変容の継続で腹囲1.0cm以上かつ体重1.0kg以上の減少と同程度の効果が期待されるよう目標を設定するとし、メタボリックシンドローム改善の場合は6か月で体重の3〜5%の減量で効果が期待できることを説明するとしている。

最初の1〜2週間は食事を変えずに記録だけを置く

目標を絞るには、絞る対象の現状が必要になる。食事内容を変えないまま記録だけを1〜2週間続けると、普段のカロリーとPFCの幅、記録が途切れる場面、入力に時間がかかる食事が出てくる。これが絞る材料になる。

この段階で目標値を厳密に決める必要はない。目安に使われる推定エネルギー必要量は、基礎代謝基準値と身体活動レベルの掛け算から出る計算値であり、個人の実測値ではない。記録側の数字にも、自己申告の過小評価と日間変動が乗っている。最初の2週間の数字は、目標を確定させる材料ではなく、記録がどのくらい埋まるかを見る材料として扱うほうが現実に合う。

記録の対象も全部でなくてよい。食事記録アプリの選び方で触れたとおり、入力の手数は記録が続くかどうかを直接左右する。手数の多い食事は概算で済ませ、頻度を落とさないほうを取る判断は成立する。

3週目以降に見る数字を先に決めておく

2週間分の記録がたまった時点で、どの数字を見るかを決めておくと判断が安定する。

体重は毎日測って記録してよいが、前日との差は判断材料にならない。条件をそろえても日々の変動があり、短期で動いているのは主に水分と消化管の内容物である。判断は2〜4週間の傾きで行う。この点は体重は毎日ぶれるに整理している。

記録側で見る数字は、合計カロリーより先に「記録できた日数」でよい。前述の研究で体重変化と関連していたのは、記録した日数と、週3日以上記録できた週の数だった。合計カロリーの精度を上げる作業は、記録が続く見通しが立ってからで間に合う。

続かない場合まで含めて前提に入っている

同じ厚生労働省のプログラムは、アプリの活用について「生活習慣改善の効果が指摘されているが、全ての人にとって効果的というわけではない」と明記している。本人の利用意向とICTリテラシーを確認し、効果的な対象者を見極めて導入することが重要だとしている。

一方で、アプリの利用頻度が高いほど3か月後の食生活改善の達成度が高いことが指摘されている、とも書かれている。頻度と継続の扱いは、研究側の結果と同じ方向を向いている。

そのため、最初の2週間で確認する価値があるのは、記録が何日埋まったかと、途切れたあとに戻れたかである。完璧な記録が7日続いたあとに2週間空白になるパターンより、埋まり方が粗いまま続くパターンのほうが、体重変化と関連していた指標に近い。

CaRoot で最初の2週間を回す場合

CaRoot で上の順番をたどる場合、対応する機能は次のようになる。

入力の手段は4通りある。食事の写真を撮るAIスキャン、パッケージのバーコードスキャン(Open Food Facts 連携)、約2,500件の内蔵食品データベース、名前からの概算である。精度の高い方法が使えない場面で、粗い方法に落として記録だけは残せる。繰り返す食事は「いつもの食事」に登録すると、次回から1操作で入る。

埋まり方はカレンダーと週間レポートで確認できる。ストリークは連続記録の日数で、フリーズは記録できない日があってもストリークを途切れさせないための仕組みである。体重と水分も同じ記録画面から入れられ、目標は減量・維持・増量・健康維持から選ぶ。

できないことも書いておく。写真からの推定には誤差があり、とくに脂質は過大に出やすい。表示される数値は実測ではなく推定値である。記録はアカウントなしでも端末内に保存でき、ログインするとクラウド同期に切り替わる。無料版は広告つきで、有料は CaRoot Plus(月額・年額)と広告なしの買い切りがある。

出典

この記事は一般的な栄養情報の解説であり、特定の疾患の診断や治療について述べたものではない。個別の食事計画や既往症がある場合は、医師や管理栄養士に相談することが前提になる。

CaRoot は、写真を撮るだけで
記録が終わる食事管理アプリです。

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