目標体重はどう決めるか — 「目標とするBMIの範囲」が年齢で動く理由と、もう一つの適正体重

食事記録アプリで目標設定をすると、多くの場合まず目標体重の入力を求められます。身長から計算された「標準体重」が初期値に入っていることもありますが、その数値がどの基準から来たものかは画面には書かれていません。

体重の目安として流通している数値には、少なくとも三つの出どころがあります。日本肥満学会の肥満度分類、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」が示す目標とするBMIの範囲、そして「健康日本21(第三次)」の適正体重です。三つは目的が違い、示す数値も一致しません。原典にあたって整理します。

肥満度分類では25以上が肥満、22が標準体重

BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値です。厚生労働省のe-ヘルスネットは肥満度判定の国際的な標準指標としてこの式を挙げる一方、その限界も明記しています。「BMIは身長と体重から単純に計算された値ですので、これだけでは筋肉質なのか脂肪過多なのか区別できません」。以下の基準がいずれも単一の数値ではなく幅で示され、参考値と断られているのは、この性質が前提にあるからです。

日本肥満学会の肥満度分類では、18.5未満が低体重、18.5以上25.0未満が普通体重、25.0以上が肥満で、以降30.0・35.0・40.0を境に肥満(1度)から(4度)に分かれます。肥満の定義は「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」です。

よく使われる「標準体重」はこれとは別の計算です。e-ヘルスネットは「標準体重(理想体重)はもっとも疾病の少ないBMI22.0を基準として、標準体重(kg)=身長(m)2×22で計算された値とする」と説明しています。BMI22.0は、統計上、糖尿病・高血圧・脂質異常症に最もかかりにくい数値とされている、という位置づけです。

ただし同ページは「肥満(BMI≧25.0)は、医学的に減量を要する状態とは限らない」とも付記しています。22も25も集団を区切るための統計的な基準点であり、個人が達成すべき目標として提示された数値ではありません。

食事摂取基準の「目標とするBMIの範囲」は年齢で動く

食事計画の参照値として使われるのは、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の目標とするBMIの範囲です。18歳以上について男女共通で、次の値が示されています。

  • 18〜49歳:18.5〜24.9
  • 50〜64歳:20.0〜24.9
  • 65〜74歳:21.5〜24.9
  • 75歳以上:21.5〜24.9

下限が年齢とともに上がります。脚注には、65歳以上について「総死亡率をできるだけ低く抑えるためには下限は20.0から21.0付近となるが、その他の考慮すべき健康障害等を勘案して21.5とした」、上限について「総死亡率の低減に加え、主な生活習慣病の有病率、医療費、高齢者及び労働者の身体機能低下との関連を考慮して定めた」と書かれています。

2025年版では、総死亡率だけでなくフレイル・身体機能障害をアウトカムとした設定であることが明記され、やせだけでなく肥満もフレイルのリスク因子となる点にも言及が加わりました。表には「あくまでも参考として使用すべきである」という脚注も付いています。年齢で下限が動く基準に対し、BMI22を一律に当てる発想は噛み合いません。

「適正体重」にはもう一つの定義がある

国の健康施策では、別の区切りが使われています。「健康日本21(第三次)」の指標における適正体重を維持している者は、BMI18.5以上25未満(65歳以上はBMI20を超え25未満)の者です。食事摂取基準の範囲とは一致せず、50〜64歳の下限は食事摂取基準では20.0ですが、こちらでは18.5のままです。食事計画の参照値と、施策の到達度を測る指標では、目的が違えば区切りも変わります。アプリが表示する「適正体重」も、どの基準を採用しているかで数値が変わります。

令和6年国民健康・栄養調査では、適正体重を維持している者の割合は60.7%(年齢調整値62.2%)で、健康日本21(第三次)の目標値は66%です。20〜60歳代男性の肥満者(BMI25以上)は34.0%、20〜30歳代女性のやせ(BMI18.5未満)は16.6%、65歳以上の低栄養傾向(BMI20以下)は19.5%でした。範囲から外れる方向は一つではありません。

体重以外の軸として腹囲が置かれている

公的な保健指導の対象は、体重だけでは決まりません。厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版)」によれば、対象となるのは腹囲が85cm以上(男性)・90cm以上(女性)の者、または腹囲が基準未満でBMIが25以上の者のうち、血糖・脂質・血圧について定められた値に該当する者です。指導の実績評価でも、主要達成目標は「腹囲2.0cm以上かつ体重2.0kg以上減少」と、体重と腹囲が並べて置かれています。体重という一つの数値だけでは中身の違いが見えない、という前提での設計です。

目標体重を決める手順

順序としては次のようになります。

  • 年齢に対応する範囲を体重に換算する。身長1.70mで18〜49歳なら、BMI18.5〜24.9は約53.5〜72.0kgです。
  • 幅の中から現体重に近い側を取る。基準は幅のまま示されていて、下限や上限が目指す点として置かれているわけではありません。すでに範囲内なら、そこを動かす理由は基準の側にはありません。
  • 到達期間は別に決める。体脂肪1kgあたりのエネルギーから単純に日数を割り出すと、実際より速いペースが出ます。この点は体脂肪1kgは約7,000kcalで整理しています。
  • 判断は推移で行う。食事摂取基準は、エネルギー摂取量の過不足の評価には「BMI又は体重変化量を用いる」としています。記録したカロリーの合計そのものではなく、体重がどちらに動いたかが評価の材料です。日々のぶれ幅は体重は毎日ぶれるで扱っています。

CaRootでの目標設定

CaRootは、写真を撮るだけでAIがカロリーとPFCを推定する食事記録アプリです。目標設定では減量・維持・増量・健康維持から選び、現在の体重と目標体重を登録すると1日のカロリーとPFCの目安が決まります。体重記録を同じアプリ内に持つため、記録したカロリーと体重の動きを並べて見ることができ、週間レポートで推移を確認できます。

できないことも書いておきます。CaRootが扱うのは体重とカロリー、PFCで、体脂肪率や腹囲は記録できません。BMIの判定や医学的な評価も行わず、入力された目標体重が妥当かを判断する機能もありません。目標体重そのものは、上の基準を見て決める必要があります。

出典

この記事は一般的な栄養情報と公的基準の解説であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。特定の疾患がある場合や、体重の増減に医学的な配慮が必要な場合は、医師や管理栄養士に相談してください。

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記録が終わる食事管理アプリです。

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