食物繊維の目標量はどう決まっているか — 理想の25gと基準に載った18〜22gの差

食物繊維は1日どれくらい摂ればよいのかを調べると、25g、22g、18gと違う数字が出てきます。どれも間違いではありません。出どころと役割が違うだけです。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の炭水化物の項では、この3つが別々の階層に置かれています。理想として示された量、そこから逆算された参照値、性・年齢区分ごとに表へ載った値です。

目標量は「理想の量」ではなく、到達可能性から逆算されている

報告書は、健康への利益を考えた場合「少なくとも1日当たり25g」は食物繊維を摂取した方がよいと考えられる、と書いています。ただし直後にこう続きます。日本人の摂取量の中央値は全ての年齢区分でこれよりかなり少なく、この値を目標量として掲げてもその実施可能性は低いと言わざるを得ない、と。

そこで採られたのが、中間値から逆算する方法です。成人(18歳以上)の摂取量中央値13.3g/日と25g/日の中間値である19.2g/日を参照値とし、成人の参照体重58.6kgと性・年齢区分ごとの参照体重の比の0.75乗で外挿する。整数にしたうえで、隣り合う区分間で平滑化する。表の数字はこの手順の出力です。

つまり目標量は「これだけ摂れば十分」を示す線ではなく、理想と現状の中間に置かれた通過点です。

25gという数字の出どころ

理想値の根拠は、WHOの炭水化物摂取量に関するガイドラインで採用された、185の前向き研究と58の介入研究をまとめたメタ・アナリシスです。少なくとも1日25〜29gの食物繊維の摂取が、様々な生活習慣病のリスク低下に寄与すると報告されています。

同時に報告書は、同じ研究が摂取量とリスクとの間に明らかな閾値は存在しないと指摘していることも併記しています。25gを超えたら安全圏に入る、という性質の線ではありません。

もうひとつ注記があります。算定に用いられた研究の多くは通常の食品に由来する食物繊維を扱ったもので、同じ量をサプリメント等で摂ったときに同等の健康利益を期待できるという保証はなく、食品由来で摂れる量を超えて大量に摂ればより大きな利益が期待できるとする根拠もない、というものです。

2025年版で、男性の目標量が年齢で分かれた

2020年版は、18〜64歳が男性21g以上・女性18g以上、65歳以上が男性20g以上・女性17g以上という2段階でした。2025年版の目標量は次のとおりです。

  • 18〜29歳:男性20g以上/女性18g以上
  • 30〜49歳:男性22g以上/女性18g以上
  • 50〜64歳:男性22g以上/女性18g以上
  • 65〜74歳:男性21g以上/女性18g以上
  • 75歳以上:男性20g以上/女性17g以上

男性は30〜64歳で21gから22gへ上がり、18〜29歳では20gへ下がりました。女性は65〜74歳が17gから18gへ上がっています。

動いた理由は算定式の入力値です。2020年版は理想値24g/日と中央値13.7g/日から参照値18.9g/日を置いていました。2025年版はこれが25g/日と13.3g/日になり、参照値が19.2g/日に上がっています。あとは参照体重の比で割り付けるため、区分ごとの体格差がそのまま目標量に出ます。考え方が変わったのではなく、同じ式に新しい数字を入れ直した結果です。

実際の摂取量との差は2〜4g

令和5年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の食物繊維摂取量の平均値は男性19.2g、女性17.3g、男女計18.2gです。年齢階級別では20代が最も少なく、男性17.8g、女性14.6gでした。

目標量と突き合わせると、30代男性は22gに対して17.9gで約4gの差、30代女性は18gに対して15.4gで約2.6gの差です。1日4gも、3食に割れば1食あたり1g強です。

同じ調査の野菜摂取量の平均値は256.0gで、「健康日本21(第三次)」の目標値350gとは約94gの開きがあります。調査が副菜を「野菜類、海藻類、きのこ類を主材料にした料理」と定義していることを踏まえると、食物繊維の差と副菜の差は、同じ食卓の別の側面を測っていると読めます。

食物繊維の数値は、食品によって測定の前提が違う

データベースが示す食物繊維のグラム数は、1g単位で積み上げられるほど前提がそろっていません。報告書は現状をこう記述しています。

  • 日本食品標準成分表2020年版(八訂)では、従来のプロスキー変法ではなくAOAC.2011.25法で測定した成分値が多く収載された
  • 両者は測定している食物繊維の範囲が異なり、食品によっては七訂と八訂で含有量が大きく異なる
  • いまだプロスキー変法の測定値のみが示されている食品も多く、何が測定されているかは食品ごとに異なる

表示の側にも穴があります。食品表示基準で義務づけられているのは熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目で、食物繊維は推奨表示の扱いです。書かれていない商品は珍しくありません(栄養成分表示の読み方)。

カロリーへの影響は小さく収まります。食物繊維の有効エネルギーは0〜2kcal/gと考えられ、成分表(八訂)では2kcal/gとしてエネルギー計算に含まれますが、炭水化物に占める重量割合が僅かなためです。なお食事摂取基準では、炭水化物から食物繊維を除いた部分を糖質と呼びます(PFCバランスの目標量)。

CaRootで見えること、見えないこと

先に書いておくと、CaRootは食物繊維を独立した項目としては記録しません。写真からのAIスキャンでもバーコードスキャンでも、出力されるのはカロリーとPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)です。前節のとおり元データの前提がそろっていない以上、数字を出せば正確そうに見えてしまいます。

できるのは、炭水化物の記録と、何を食べたかの履歴を残すことです。週間レポートとカレンダーで直近の食事を並べ直せば、副菜が何回あったかは見て取れます。不足は多くの場合、特定の食品ではなく副菜の回数として現れます。よく食べるものは「いつもの食事」に登録しておけばタップ一度で記録でき、アカウントなしでも動きます。

グラム数を直接追いたい用途には向きません。

参考

この記事は一般的な栄養情報の解説です。特定の疾患の治療や食事療法については、医師や管理栄養士にご相談ください。

CaRoot は、写真を撮るだけで
記録が終わる食事管理アプリです。

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