食事記録アプリのデータはどこに保存されるか — ストアのプライバシー表示と個人情報保護法から読み取る

食事記録アプリに毎日入るのは、何をいつ食べたか、体重が何kgか、といった内容である。機能一覧には入力方法や推定精度が並ぶが、入力したあとそのデータがどこに置かれ、誰が中身を取り扱うのかは、そこには書かれていない。

確認の手がかりは三つある。アプリストアのプライバシー表示、プライバシーポリシーの記載事項、そして個人情報保護法が事業者に課している義務である。

端末の中で完結する処理は「収集」に数えられない

Apple は App Store のプライバシー表示について、「収集(Collect)」を、リアルタイムの要求処理に必要な時間を超えて開発者または第三者がアクセスできる形で、データを端末の外へ送信することと定義している。そのうえで、端末上でのみ処理されるデータは「収集」にあたらず、開示の対象にならないと明記している。

この定義は表示の読み方を変える。「データを収集しません(Data Not Collected)」という表示は、アプリがデータを一切扱わないことを意味しない。入力されたデータが端末の中に留まりサーバへ送られない設計であれば、同じ表示になる。表示から分かるのは端末の外へ出ているかどうかであって、端末の中に何がどれだけあるかではない。

残りの区分は「ユーザーに関連付けられるデータ」と「ユーザーに関連付けられないデータ」で、どちらも収集されたうえで、本人の識別情報と結びつくかどうかで分かれる。なお、この表示は開発者の自己申告であり、Apple が内容を検証したうえで付与しているものではない。

Google Play のデータセーフティで申告される項目

Android 側では、Play Console の「データセーフティ」で開発者が申告する。申告項目は決まっている。収集するデータの種類、第三者へ共有するデータの種類、収集したデータが転送時にすべて暗号化されるかどうか、利用者がデータの削除を請求する手段を用意しているかどうか、そしてデータ種類ごとに提供が必須か任意か、である。

データ種類には「健康情報」と「フィットネス情報」が別に用意されている。前者は「医療記録や症状など、利用者の健康に関する情報」、後者は「運動その他の身体活動など、利用者のフィットネスに関する情報」と定義されている。食事記録や体重をどちらで申告するかはアプリによって分かれる。

削除については、アカウントを作成できるアプリに明確な要件がある。アプリ内にアカウントと関連データの削除経路を置くこと、加えて、アプリを再インストールせずに削除を請求できるウェブ上の窓口を用意することが求められる。2024年5月31日以降、対応しないアプリは Google Play からの削除を含む措置の対象になるとされている。

クラウド同期の保存先は「第三者提供」にあたるのか

クラウドに同期すると、データは事業者が借りているサーバに置かれる。これが個人情報保護法上の第三者提供にあたるかどうかについて、個人情報保護委員会は見解を示している。クラウド事業者が当該個人データを取り扱わないこととなっている場合、提供したことにはならず、本人の同意は必要ない。具体例として挙げられているのは、契約条項によって外部事業者がサーバに保存された個人データを取り扱わない旨が定められており、適切にアクセス制御を行っている場合である。

サーバが海外にある場合も整理は同じ方向になる。事業者が自ら外国に設置して自ら管理・運営するサーバへの保存、および外国の事業者のサーバであっても保存された個人データを取り扱わないこととなっている場合は、外国にある第三者への提供には該当しない。ただしその場合も、当該国の個人情報保護制度を把握し、安全管理措置を講じる義務は残る。

つまり「サーバが海外にあるかどうか」は、それ単体では判断材料にならない。確認すべきなのは、中身を誰が取り扱うことになっているかである。

食事や体重の記録は「要配慮個人情報」か

個人情報保護法は、取扱いに特に配慮を要する情報を「要配慮個人情報」として区別している(法第2条第3項)。法が列挙するのは、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実である。政令と規則がこれに、心身の機能の障害があること、医師等により行われた健康診断等の結果、その結果にもとづく指導・診療・調剤が行われたこと、刑事事件や少年の保護事件の手続が行われたことを加えている。

この列挙に、自分で量った体重や自分で入力した食事の内容は挙がっていない。一方、健康診断の結果をそのままアプリに入力すれば、それは列挙されている項目にあたる。同じアプリでも、何を入れるかで位置づけが変わりうる。

要配慮個人情報でなければ扱いが自由かというと、そうではない。保有個人データであれば、本人は開示(法第33条)、訂正・追加・削除(法第34条)、利用停止・消去や第三者提供の停止(法第35条)を請求できる。令和2年改正でこの請求権は拡充され、利用する必要がなくなった場合にも請求できるようになっている。

ポリシーで確認できる項目はあらかじめ決まっている

事業者は、保有個人データについて次の事項を本人の知り得る状態に置く義務を負う(法第32条)。事業者の氏名または名称と住所、すべての保有個人データの利用目的、請求に応じる手続、安全管理のために講じた措置、苦情の申出先である。

したがって、プライバシーポリシーを開いたときに探す場所は決まっている。利用目的に広告配信や分析が含まれているか。削除・利用停止の請求手続がどこに書かれているか。安全管理措置の記載があるか。この三点を見るだけなら数分で終わる。記載が見当たらない場合、法が求める水準を満たしていない可能性がある。

入力の手数や食品データの出どころを含めた選び方の全体像は、食事記録アプリの選び方 — 機能の多さより先に確認したい4つの軸で整理している。

CaRoot の場合

CaRoot はローカルファーストの設計で、アカウントを作らずに使える。食事の記録、体重、水分の記録は端末の中に保存され、ログインした場合にかぎってクラウドへ同期される。アカウントを作らずに使っている間は、この記事でいう「端末上でのみ処理されるデータ」の状態にとどまる。

できないことも書いておく。無料版には広告が表示される。広告に関わるデータの扱いはアプリ本体の記録とは別の話になるため、その部分は個別の確認が必要になる。広告を外す手段としては、CaRoot Plus(月額・年額)と、広告なしの買い切りがある。機能の全体像はCaRoot とは — 写真を撮るだけで終わる食事記録アプリにまとめている。

出典

本記事は公開されている法令・ガイドラインおよび各ストアの公式ドキュメントにもとづく一般的な整理であり、個別の事案に対する法的助言ではない。特定の疾患に関わる食事や健康状態の判断については、医師や管理栄養士に相談することになる。

CaRoot は、写真を撮るだけで
記録が終わる食事管理アプリです。

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