1日の摂取カロリーの目安の出し方 — 推定エネルギー必要量を原典から計算する

1日に何kcal摂ればいいのかを調べると、サイトごとに違う数字が出てきます。基礎代謝の推定方法と活動量の係数の置き方が違えば、同じ人でも数百kcalの差が生まれます。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、この数値を推定エネルギー必要量という名前で示しています。その計算の中身と、報告書自身が付けている但し書きを原典から整理します。

推定エネルギー必要量は、2つの数字の掛け算で出す

食事摂取基準はエネルギー必要量を「ある身長・体重と体組成の個人が、長期間に良好な健康状態を維持する身体活動レベルのとき、エネルギー消費量との均衡が取れるエネルギー摂取量」と定義しています。消費した分と釣り合う摂取量、という意味です。

これを知る方法として報告書は3つを挙げ、そのうち基礎代謝量と身体活動レベルの積を取る方法を採用しています。得られるのは実測値ではなく推定値なので、推定エネルギー必要量(EER)と呼ばれます。

同時に報告書は、「適正」な値を単一の数値として示すのは不可能である、と明記しています。数値が基準表ではなく参考表に置かれているのは、このためです。

基礎代謝量 — 体重に「基礎代謝基準値」を掛ける

基礎代謝量は、基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)に体重を掛けて求めます。2025年版の基準値は次のとおりです。

  • 18〜29歳:男性 23.7 / 女性 22.1
  • 30〜49歳:男性 22.5 / 女性 21.9
  • 50〜64歳:男性 21.8 / 女性 20.7
  • 65〜74歳:男性 21.6 / 女性 20.7
  • 75歳以上:男性 21.5 / 女性 20.7

35歳・体重68kgの男性なら、22.5×68=1,530kcal/日が基礎代謝量の目安です。年齢とともに基準値が下がるため、同じ体重でも20代と60代では1日100kcal以上の差が出ます。

ただしこれは体重あたりの係数です。報告書は、各指標の基準がいずれも参照体位を想定した値であり、参照体位と大きく異なる体位を持つ個人に用いる場合には注意を要する、としています。参照体重は30〜49歳で男性70.0kg、女性53.3kgです。

身体活動レベル — 「ふつう」の中身は思っているより重い

基礎代謝量に掛ける係数が身体活動レベルです。18〜64歳では「低い」1.50、「ふつう」1.75、「高い」2.00。65〜74歳は1.50/1.70/1.90、75歳以上は1.40/1.70の2区分になります。

問題は、自分がどれに当たるかです。報告書は代表例として、中程度の強度(3.0〜5.9メッツ)の身体活動と、仕事での歩行の1日合計時間を示しています。

  • 低い(1.50):中強度の身体活動 1.65時間/日、仕事での歩行 0.25時間/日
  • ふつう(1.75):中強度の身体活動 2.06時間/日、仕事での歩行 0.54時間/日
  • 高い(2.00):中強度の身体活動 2.53時間/日、仕事での歩行 1.00時間/日

「ふつう」は、中強度の活動が1日2時間あり、仕事中の歩行が30分を超える生活です。座位中心の仕事で通勤も短ければ、実態は「低い」に近くなります。基礎代謝量1,530kcalの人なら、1.50と1.75の差だけで約380kcalです。

基礎代謝量と身体活動レベルが決まれば、その積が推定エネルギー必要量です。参照体重を用いた場合の値は、報告書の参考表で次のように示されています(低い/ふつう/高い、kcal/日)。

  • 18〜29歳 男性:2,250/2,600/3,000 女性:1,700/1,950/2,250
  • 30〜49歳 男性:2,350/2,750/3,150 女性:1,750/2,050/2,350
  • 50〜64歳 男性:2,250/2,650/3,000 女性:1,700/1,950/2,250
  • 65〜74歳 男性:2,100/2,350/2,650 女性:1,650/1,850/2,050

維持の目安から、どれだけずらすか

厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」は参考値として、腹囲1.0cm(脂肪1.0kg)を減らすには約7,000kcal減らすことが必要としています。

1日250kcalを削れば30日で7,500kcal、脂肪に換算しておよそ1kgです。2,550kcalの目安を2,300kcalにする程度の変更に当たります。

ペースの目安も同じ資料にあります。メタボリックシンドローム改善を目的とする場合の数値目標として、6か月で体重の3〜5%の減量が挙げられています。体重70kgなら6か月で2.1〜3.5kg、月あたり0.35〜0.6kgという傾きです。

下限の側も決まっています。目標とするBMIの範囲は18〜49歳で18.5〜24.9、50〜64歳で20.0〜24.9、65歳以上で21.5〜24.9(男女共通、参考値)です。減量の到達点をこの下限より下に置く根拠は、基準の中にはありません。

計算値は仮説で、答え合わせは体重の変化

参考表には注意書きが付いています。活用に当たってはエネルギーの過不足を体重の変化又はBMIを用いて評価すること。計算で出した数値は出発点であって、正しかったかは体重の動きが決めます。

運用としては、2〜4週間その摂取量で過ごし、体重が想定どおりに動いたかを確認します。動かなければ、身体活動レベルの見積もりか記録のほうがずれています。体重は日ごとに動くため、前日との差ではなく週の平均どうしを比べます。

同じ保健指導プログラムは、対象者が選ぶ行動目標の例として「毎日体重を測り、結果を記録する」を挙げています。測って残すこと自体が、目安を補正する材料になります。

なお、総量が合っていても内訳が偏れば結果は変わります。比率のほうはPFCバランスの目標量で扱っています。

CaRootでの扱い

CaRootは、食事の写真からAIがカロリーとPFCを推定する食事記録アプリです。目標設定では減量・維持・増量・健康維持から選び、1日の目安カロリーを置きます。摂取量に加えて体重も記録でき、週間レポートで直近7日を集計します。

アプリが担うのは「計算」ではなく「答え合わせ」の部分です。食べた量と体重の推移が同じ場所に並ぶので、2〜4週間後に、置いた目安が妥当だったかを見直せます。推定には誤差があり、写真から調理油の量までは読み取れません。それでも記録が続いていれば、体重の変化との突き合わせはできます。機能の詳細はCaRootとはにまとめています。

参考

この記事は一般的な栄養情報の解説です。特定の疾患の診断・治療や食事療法については、医師や管理栄養士にご相談ください。

CaRoot は、写真を撮るだけで
記録が終わる食事管理アプリです。

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